《第9回講演会》
未曾有の大震災は,大量生産・大量消費を前提にした現代社会に対して大きな問
題を提起しました。
  自然の脅威をまざまざと知らされたとはいえ,地域社会が受けた津波による直接
的な被害と,二次的な原発被害の問題は明確に分けて考えなくてはなりません。とく
に後者の問題は幾度となく識者が鳴らした警鐘を聞こうとしなかったつけが一気に回
ったもので,科学技術の限界を知ることにもなりました。政府が進める科学技術政策
の柱にグリーンイノベーションとライフイノベーションがあります。このふたつのイノベー
ションに共通した概念は自然との共生です。
失われた幾多の尊い人命に報いるためにも,これからの社会は,自然をコントロー
ルするという発想から自然との共生の途を探るという姿勢に変えなくてはなりません。
その限りにおいて,「農」の役割はいつの時代も普遍性があります。そのことを九州
の地から発信すべきです。

 【テーマ】「自然との共生社会の実現に向けた「農」の役割」
 【講演者】岩元睦夫(社団法人 農林水産先端技術産業振興センター理事長)


 《第10回講演会》
  誰でも何がしかの栄養知識を身につけていて,食べ物の「良し悪し」を選択してい
ます。しかし,「食と健康」の問題は非常に複雑であり,食事指導は健康のためには
「名案」であっても,人生にとってはしばしば「愚案」ともなりかねません。「脂質(あぶ
ら)」については,科学的根拠に乏しく,憶測や海外での事情が鵜呑みにされ,不健
康で危険な栄養素と忌避されがちです。
はたしてそうなのでしょうか。「あぶら」に焦点を当て,栄養学のテーマである「ほど
ほどの摂取」の概念を基に,食生活全体の中での判断の重要性を説き,正しい栄養
情報の理解,ひいては健康に役立つ話をしたいと思っています。

 【テーマ】「栄養常識を斬る:『あぶら』は危険?」
 【講演者】菅野道廣(九州大学名誉教授/熊本県立大学名誉教授)